樹木
- 樹木には草花のように水やりをする必要があるのでしょうか?
- 屋上などの乾きやすい場所や植栽したての若い木、また夏場には、土の乾き具合を見ながら水をやる方が良いでしょう。毎日、鉢植えの苗にやるように多量にやる必要はありません。
- 京都の庭造りで用いられる代表的な庭木には何がありますか?
- モミジ(他の土地よりきれいに紅葉します)、カシ、アカマツ、ナンテン(使う頻度が高い)、台杉(京都の県木に指定されている北山杉は台杉仕立てにされて庭に植えられることが多い)。
- 果樹を植えているのですが、どんな手入れをすれば良いですか?また実付きを良くするにはどうすれば良いですか?
- 自分で剪定する場合、まずどの枝のどの部分にいつ花芽が出るかを知っておくことが重要です。そして冬の剪定で花芽が付いた枝を切らないように注意してください。肥料は毎年しっかり施し、良い実が欲しいなら摘果をすると良いでしょう。
- 自分で植木を植える時の注意点を教えてください。
- 基本的に庭では、木が根をのばしていくには土が硬すぎる場合が多いので、出来るだけ腐葉土、パーライトなどを土によく混ぜて開墾すると良いでしょう。また水をやる時には、しっかり根の底の方まで水と土が行きわたるようにしてください。
- 日当たり、風通しは良いのに花木の花があまり咲かず、葉数も少ないように見えます。どうすれば良いですか?
- 木が弱っているようなので、環境を改善する必要があります。もしくは、土が硬すぎて根があまり伸びていないのかも知れません。土壌を改良するために、根の回りにたい肥やパーライトを混ぜたり、冬に寒肥を行ってください。
- 海辺に住みたいのですが潮風に強い樹木はありますか?
- イヌマキ、ウバメガシ、キョウチクトウ、グミ類、クロマツ、サンゴジュ、シイノキ、シャリンバイ、トベラ、ヒイラギ、ハマヒサカキ、ヒサカキ、マサキ、ヤブツバキ、ヤマモモ、ヒメユズリハ、ヤブニッケイ、ハイビャクシン などがあります。
- 木々の枝先に白っぽい乾いたような苔が生え、枯れてしまいます。対処方法はあるのでしょうか?
- 枝先の白っぽい乾いたような苔は、着生植物だと思われます。着生植物は、土壌に根を下ろさず樹木や岩の上にくっついて生活する植物です。このような着生植物は弱った樹木の幹や枝に多く見られることから樹木の生育に害を及ぼしているのでないかと疑われますが、くっついている植物から栄養を吸収している寄生植物とは異なりますので、樹木への影響はありません。ただ、生育のためには適度の陽光が必要なため、樹勢が弱く葉の量が少ないと多くなる傾向があるのです。則ちこの場合、枝が枯れてしまうのは他の原因によるものだと考えられます。樹木の環境改善、樹勢回復を行うことが大切です。どうしても除去したければ、タワシなどで落とすことは出来ます。その場合は木の大きさや地衣植物の量に応じて段階的に落とされると良いでしょう。木酢液などの散布を何回か行うと枯死しますが、樹皮から完全に剥がすことは困難です。
- 毎年、桃の新芽が縮んでいます。これは病気ですか?
- 原因はアブラムシ、もしくは縮葉病やウイルス病という病気であると考えられます。アブラムシを見つけたら、スミチオンを1000倍液で散布してください。縮葉病なら3月上旬に硫黄合剤を散布すると良いでしょう。ウイルス病に対しては有効な治療法が現在までほとんど見つかっておらず、もっぱら衛生的な予防法に頼らざるを得ません。縮んだ葉は取り除き、処分してください。
- 老松の枝先が冬になると茶色く枯れてしまいます。枝先は春になると元気になりますが、2メートル先に植わっている若い松は冬も元気なので、気になっています。どうしてでしょうか?
- 霜にやられて弱い枝先が枯れているのだと考えられます。やはり樹も人間と同じで若いほうが元気で、霜にも耐えられる力を持っているのではないでしょうか。
- 盆栽の樹木は、地面に降ろしても育ちますか?
- 育つことは育ちますが、うまく地面に付くかどうかは保証出来ません。
- 樹木の周辺に炭を埋め込んであるのを見ることがあるが、どんな効果があるのだろうか?
- 炭には土壌の酸性化を弱めたり、土壌微生物の活性化を促す効果があります。
- 松に、残ったビールや日本酒を蒔くと元気になると聞きました 本当ですか?
- 「松は日本酒が好きだ」とは良く言われます。また酒粕を弱っていた松に施してやったところ、回復したという事例があります。これは酒粕が肥料分になり、またアルコール分が根を温めたのが良かったのではないかと考えられます。
- カシの葉に毎年白い粉がふいていますが、どうすれば良いですか?
- ウドンコ病という病気であると考えられます。冬期1~2月に硫黄合剤を散布して殺菌予防します。
- あまり手入れをしなくて良い木、あまり伸びない木を教えてください。
- キャラ、ヒイラギ、ヒイラギナンテン、イヌツゲ、キンモクセイ、ハナミズキ、マルバヒイラギ などがありますが、庭に木を植えるということは、木を育てることでもあり、成長しない木となると、答えに困ります。育っている姿が木の命です。
植物
- 日当たりの悪い場所に華やかなものを植えたいのですが、どんな植物がありますか?
- ギボウシ、クリスマスローズ、ツワブキ、ツボサンゴ、シャガ、エビネ、アジュガ、ヤブコウジ、センリョウ、ヤブラン、ユキノシタ、ホトトギス、イカリソウなど日陰でも育つものの中から選んでください。
- チドメグサは残しておいても良いのでしょうか?
- 放っておくと砂利や苔の中にまで生えてくるので、除去する方が良いでしょう。剥がす感覚で引き抜くとペリペリ取れます。
- 斜面地に手入れのあまり必要のない植物を植えたいのですが、どのようなものがありますか?
- タマリュウ、ニチニチソウ、シバザクラ、セダム、ヒメツルシバ、キヅタなど。
- 芝生を張ってもすぐに枯れてしまいます。どうすれば良いですか?
- 芝生は日当たり、風通し、水はけの良い所を好み、あまり踏みつけられるのが好きではありません。その場所が芝生に適しているかどうか、もう一度検討してみることを勧めます。
- 庭に雑草が生えてこないようにするにはどうすれば良いですか?
- 草引きすることが最良の手入れです。
・砂利、ウッドチップを敷く。雑草が生えてこない砂利もあります。
・除草剤を散布する。
・防草シート等もあります。
苔
- 苔の中にゼニゴケが生えてきます。何か対策はありますか?
- プリグロックス(杉苔用)は、苔を枯らさずに雑草を枯らす除草剤ですが、一時的に杉苔の脱色が見られることがあります。800倍以上に薄めて散布してください。あるいは、筆を使ってお酢または除草剤(ラウンドアップなど)をぬると良いでしょう。また、冬に枯れて霜柱で浮いた状態になっていると、マット状に剥がすことが出来ます。
- 苔が良く育つのはどのような土や環境ですか?
- 苔の種類によって好む土も色々ですが、赤玉土もしくは黒土に砂と培養土を混ぜた土が適しています。
環境としては好む環境が大きく3つに分けられ、
・半日陰性、乾燥性:シラガゴケなど
・半日陰性、湿潤性:タチゴケ、コツボゴケ、ヒノキゴケなど
・好日性、湿潤性:スナゴケ、スギゴケなど
植える場所に応じて苔の種類を使い分けると良いでしょう。
- 庭師がよく使う苔やあまり使わない苔、また苔の種類などを教えてください。
- スギゴケ、ハイゴケ、ホソバシラガゴケ等をよく用いますが、ゼニゴケは好みません。
- 京都では苔が良く育つと言われますが、なぜですか?
- 京都の気候が苔の好む状態だからです。しかし京都の全域で苔が良く育つわけではなく、地域によってばらつきはあります。また植木職人がまめに手入れをしている事も大きな理由です。
- 苔がすぐに枯れてしまいます。どうすれば良いですか?
- その苔の性質にあった管理、または植栽場所ではないと考えられます。苔の中にはスギゴケのように日光を好むものもあります。また苔は蒸れるのが嫌いなので、土壌の水はけと風通しが良くなければなりません。
- 苔の中に生えている草を抜くと苔まで取れてしまいます。何か良い方法はありますか?
- できるだけ草が小さいうちにすばやく抜いてしまうことが大切です。夏場などに草が大きくなってしまった場合は、上の部分だけを切って根を残してしまう事も多くあります。雨上がりには比較的簡単に根から抜くことが出来ます。
竹垣 / 石垣 / 壁 / フェンス
- 石垣の隙間の草を抜くと土も一緒に付いてくるのですが、それによって石垣の強度が弱くなることはありませんか?
- 石垣の造りや状態によって違います。本来、石積みの石垣は石と石の重なりと重さで強度を保っていますので、目地の土が少々とれても弱くなることはありません。しかし中にはあまり上手く積められていないものや、古くなったものなど、すでに安定感のない石積みもあります。その場合は土を抜いてしまうと、やはり石垣の強度が弱くなるので良くありません。草をひく時は、根を遺して草をむしる様にすると良いでしょう。
- 竹垣はどのくらいで交換したら良いですか?
- 竹垣が壊れてボロボロになってきたら交換されると良いでしょう。しかし青い竹が茶色に色褪せてしまっても問題はありませんし、黒の染め縄で結束し直すだけで新鮮味が戻ります。また古くなった竹垣も味があります。
- 木が大きくなると根が近くにある石垣や塀を傷めそうですが、何か対策方法はありますか?
- まだ移植可能な大きさならば、広い場所への移植を考えるのも良いでしょう。すでに大きくなっている場合は、出来るだけ大きな根が塀に行かないようにするより手段はありません。木が大事か石垣が大事か、必要な方を大切にしてください。
- ツタが家の壁にどんどん張り付いていますが、放っておいても良いのでしょうか?
- ツタを全部剥いでみると外壁は根の浸食によってボロボロになっていることがあります。外壁のことを考えるなら除去した方が良いでしょう。
- フェンスを覆うような植物が植えたいのですが、どんなものがありますが?
- ナツヅタ、キヅタ、ツルニチソウ、クレマチス、ノウゼンカズラ、ツキヌキニンドウ、ハニーサックル、ツルバラ、モッコウバラ、カロライナジャスミン、ムベ、アケビ、キュウイなど。
土壌
- 新築の家の庭なのですが、土壌改良には何を混ぜれば良いですか?
- まずその庭土の性質を知ることが大切です。水はけの良し悪し、土の硬さ、土の内容(大きな石が多い、粘土質)や肥料分はあるかなどを見て判断します。
【水はけの悪い庭】排水用の暗渠を入れる ・砂杭(土の中に縦の穴を掘り、砂利と砂を詰めた穴)を作る ・パーライトをすき込む
【乾燥気味の庭】土に保水性の良い赤玉土やピートモス、堆肥を混ぜる
【土が硬い】堆肥とパーライトを混ぜる
【大きな石が多い】できるだけ石を取り除く
【粘土質】黒土を混ぜる・堆肥やピートモス、腐葉土を混ぜる
【肥料分が少ない】腐葉土や赤玉土、バーミュキライト、堆肥を混ぜる
- 市販の園芸用土と植木屋さんが使用する土の違いはありますか?
- 違いは特にありません。市販の園芸用土は、あらかじめ植物にとって良い性質の土であるように配合され、売られています。植木屋はその都度、状況に合わせて配合しています。※『良い土』とは、保水性、保肥性、通気性、排水性があり、酸やアルカリに偏らず、有機物を含んでおり且つ清潔であることが条件です。
- タマゴの殻や貝殻は、庭に蒔いておいても良いですか?
- カルシウム分が含まれているので悪いことではありませんが、そのままの形で土に混ぜてもなかなか分解されません。細かく砕いてから混ぜる方が効果的でしょう。
- 私の庭は水がよく溜まります。水はけを良くするにはどうすれば良いですか?
- Q「新築の家の庭なのですが、土壌改良には何を混ぜれば良いですか? 」の返答(水はけの悪い庭)参照
- ブルーベリーには酸性の土が良いとききました。同じ庭に植わる他の樹木には悪影響を及ぼさないでしょうか?
- 植え土にピートモスを混ぜると良い。ブルーベリーを植える所にだけピートモスを多く施してやれば良いので、他の樹木への影響は気にする必要はありません。またブルーベリーは違う系統の品種の株を群植しないと結実しません注意して下さい。
- カチカチの硬い土には何を混ぜたら植物を植えることが出来ますか?
- Q「新築の家の庭なのですが、土壌改良には何を混ぜれば良いですか? 」の返答(土が硬い)参照
- モグラが土を掘り返してしまいます。何か対策はありますか?
- ペットボトルで風車を作って地面に棒を立てて設置し、カタカタと音が出るように回転させます。モグラは音と振動に敏感なので、カタカタという音を嫌って近寄らなくなります。設置するとモグラが動けなくなる可能性があるので、徐々にモグラを追い込むように設置すると良いでしょう。
- 草花、樹木を植えてもあまり根が伸びません。どうすれば良いですか?
- 土が硬すぎる、もしくは肥料不足が考えられます。土壌改良を行ってください。
- 軒下の土がいつも雨でえぐれてしまいます。どうすればよいですか?
- 雨が落ちる部分に石や砂利をひくか、雨落ちの水路をつくると良いでしょう。
肥料
- 肥は毎年必要でしょうか?
- 庭にあるすべての樹木に毎年やる必要はありません。植え付けてまだ5年未満木や弱りかけている木、果樹には毎年やる方が良いでしょう。
- 寒肥の中身は何ですか?
- 油粕、鶏糞、骨粉、堆肥等の有機質肥料を混ぜあわせたものです。樹木の状態を見てネガアップ等も施してください。
- 植木には園芸用の化成肥料を与えても良いでしょうか?また、どの時期にどんな肥料を与えれば良いのですか?
- 化成肥料は短期間で分解され効果を期待する肥料なので、樹木には適しません。樹木には冬の1月~2月に施す寒肥が向いています。これは長期間でじんわりと効いていく有機質肥料です。
- アジサイの花色が薄くなってきたが、どんな肥料を与えるべきでしょうか?
- 青いアジサイ: ピートモス、鹿沼土を土に混ぜる、カリウム(K)の多い化成肥料を与える
赤いアジサイ: 苦土石灰、草木灰などを土に混ぜる、チッソ(N)、リン酸(P)の多い化成肥料を与える
虫
- イラガ、チャドクガの対策方法を教えて下さい。
- イラガ: 冬に繭を作るので見つけて取り除いてください。発生(5月~11月)したらスミチオンを500~1000倍に薄めた液体を一週間おきに散布。
チャドクガ: 発生したらスミチオンを500~800倍に薄めた液体を散布。予防策は剪定などで風通しを良くすることです。
- 植木には定期的に何かやらなければならない薬などはあるのでしょうか?
- 冬期: 1月~2月の間に樹木の殺菌防虫剤として石灰硫黄合剤、マシン油乳剤を散布すると良いでしょう。
夏期: 9月頃に葉ダニが大量発生することが多いので、ダニ専用の薬剤(ケルセン、アカール、ダコニール)を数回に分け、その都度種類を変えて散布すると良いでしょう。
- 池、手水鉢の水から蚊が発生するが、対策方法はありますか?
- ・池にメダカを飼うと蚊の幼虫(ボウフラ)を食べてくれます。
・手水鉢の場合、使用する時以外は水をぬいておくことも一つの解決法です。
- 蜂が巣をつくるので困っていますが、何か対策方法はありますか?
- 巣を見つけたら、大きくなる前に早めに取ってしまってください。夜のうちに巣の上から網をかけ、殺虫剤を吹きつけると比較的安全に除去できます。
- 笹、竹の葉が虫食いのように透けたようになりますが、どうしたら良いですか?
- ハダニ類: マラソン乳剤1000倍液、スミチオン1000倍液を散布。 ハダニは湿気を嫌うのでこまめに葉水をやると良いでしょう。
タケノホソクロバ: 5~6月頃に発生。スミチオンを散布。(タケケムシ)
- ナメクジが多くて困っていますが、どうしたら良いですか?
- ・薄めた木酢液を散布する。
・ビールの中にナメクジ用殺虫剤を入れ庭の湿った所へ置いておく。
掃除
- 苔の上に落ちた葉などを取り除きながら苔を痛めずにすむホウキはありますか?
- 竹材屋で売っている竹の手ボウキで出来るだけ柔らかいものを使用すると、苔を傷つけずにきれいに掃除することが出来ます。
- 砂利の上に枯葉やゴミが落ちている時に砂利を寄せてしまったり、ゴミと共に取ってしまったりせずにすむ方法はありますか?
- ブロアーという風をおこす機械で一気に飛ばしてしまうのが最も合理的ですが、一般家庭ではホウキで根気強く掃くことしか手はありません。
- 庭に動物がフンをして困っています。対策方法はありますか?
- ・ネコの通り道や糞をする所にトゲの付いたマットを敷く。
・キッチンハイターを薄めたものを散布する。
・ネコの形で目にビー玉の入ったものを時々場所を変えながら設置する。
・超音波を発する機械を設置する。
・ネコ対策には私たちも苦労しています。特に乾いた砂や砂利はネコのたまり場になります。